きみと手を繋いで眠りたい
こんな風に気持ちが荒ぶりそうな時、私は必ずスマホに保存してる〝ある画像〟を眺める。
「奈子、なに見るの?」
すると、友達の愛美(えみ)が私の机の側にきた。
「うわ、なにこれ。手繋いでる!めっちゃ可愛い!」
愛美がとろんとした表情になり、私は「でしょ!」と興奮する。私が見ていたのは、らっこの寝てる姿の画像。
らっこがはぐれないように手を繋いで眠ることを教えてくれたのは友紀だった。
家族みんなで行った水族館で、たまたま愛らしいらっこを発見して、その時に教えてくれたのだ。それからはことあるごとにらっこの寝姿を検索しては癒されている。
一生懸命、らっこを語っていたあの頃の友紀は本当に可愛かった。
女の子みたいに瞳がくりくりしていて、髪の毛だってサラサラで、声だって高かった。
なのに今は目付き悪いし、髪の毛硬いし、声も低くて可愛らしさの欠片もない。
おまけに生意気でひねくれもので、私に意地悪しかしないヤツへと成長してしまった。