約束の白いバラ
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「ええ!!!恋!!?」
お昼休みにお弁当を食べていた時にこの気持ちを初音に打ち明けると初音は大声で叫ぶ。静かに、と慌てて初音の手を掴むけどもう遅い。
周りにいた子たちがわらわらと集まってきてしまった。
「なぁに、漣夏好きな人出来たの?!」「だれだれ!」「この学校?」
なんて立て続けに次々と質問されてしまう。初音が申し訳なさそうに舌を出して、口パクでごめん、と手を合わせていた。
「他の学校の人…昨日、たまたま助けて貰ったの」
昨日のことを軽く話すと、皆想像以上に盛り上がってしまう。めっちゃイケメンじゃん、連絡先聞かなかったの、会いに行きなよ、なんて言われて。そんなこと出来ない、だって。
「あの制服、鬼龍高校の人だったよ」
初音がそう言うとみんなびっくりしたようにまた口々に色々なことを言い出す。
「初音ちゃんのお兄ちゃん鬼龍なら確かだよね!」
そう、あの学ラン。間違いなく鬼龍高校のものだった。
けれど、あの不良の集団が名前を聞いただけで逃げ出すなんて、余程の人なんだろうとは思うのに、彼のことが一日経っても頭から離れない。
「お礼だけでも言いに行ったら?」
そんな誰かの一言から、私は今日の放課後鬼龍高校へ向かうことになってしまった。