最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
東吾の横顔を盗み見ると、何の話かはすぐわかったようで、厳しい目つきで雅さんを見ている。
「私も父も、東吾さんの味方ですわ。優秀な才能がくだらない妨害によって生かされないのは大変残念です。御社の発展は上條グループ全体、ひいては日本経済の発展につながるのですから。東吾さんにはのびのび力を発揮してもらいたいと思っておりますわ」
そして、すっと後ろに立つ私に目線を向ける。
「ご自分にとって何が大事か、何を優先すべきか。広い視野でよくお考えになってくださいな。東吾さんにとって最良の選択を下していただけるよう、願っておりますわ」
絶対的な自信に裏打ちされた、勝ち誇った表情で、私に向かって語りかける。私はただ、感情を表に出さないようにするだけで精いっぱいだった。
「まずは東吾さんにお話を、と思いまして、寄らせていただきました。本日はこれで」
鮮やかに礼をして去っていった雅さんを、その場で立ち尽くして見つめるしかできなかった。秘書としてせめて部屋の外まで見送るべきだと思うのに、足がその場に凍りついて、どうしても動くことができない。