最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
書類に目を落とした瞬間にくらりとめまいがした。
でもそれも一瞬だったので、大丈夫だろうと報告を続けると、今度は目の前が真っ暗になっていく。足から力が抜けていって、さすがにまずいと思って咄嗟に座り込んだ。
「おい。大丈夫か」
驚いた東吾がすぐに回り込んで、肩を支えてくれる。
「平気です。少しめまいが」
「平気なわけないだろ。顔色真っ白だぞ」
東吾が私を支えながら、応接セットのソファまで運んでくれた。そのまま自分も隣に座り、心配そうに顔を覗き込んでくる。
「お前、昨日何時まで残ってたんだ」
「終電には間に合いました」
「ここ最近ずっとそんな感じだろ」
「それは社長も同じでしょう?」
心配の中に少し怒りの混ざった声に、苦笑いで返す。東吾が頑張っている中、私にできることがあるのに一人でのうのうと帰れない。
「……少し無理し過ぎだ」
東吾の手が私の頭に伸びて、自分の胸にそっと引き寄せる。
「乳繰り合い禁止令が」
「ただの病人の介抱だ」
ふっと肩の力が抜けて、東吾に体重を預ける。目を閉じて東吾の心臓の音を聞いていると、なんだか母親の胎内の中にいるような、安心感で包まれる。血の気が引いて冷たくなった指先に、徐々に力が戻っていった。