最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
社長は最初の言葉通り、私の業務に対しては全て指示を出してきた。
この三か月、私がしてきたことといえば、来客時のお茶出しだったり、命じられたものの買い出しだったり、会議室の準備だったりと、誰でも問題なくこなせるような簡単な仕事ばかり。スケジュール管理や出張手配などの秘書の主たる仕事は、社長が全て自分でこなしてしまうのだ。
ちょっとは役に立つかと資料なんぞ作ろうものなら、誰がそんなことしろといったといわんばかりの目で威嚇されて、目の前でメモ紙行きだった。あれは流石の私でもへこんだ。
指示を待つばかりの私とは反対に、社長は滅法忙しい。
就任したばかりなこともあり、社内・外問わずそこら中飛び回っている。スケジュール自体は共通のシステムで確認できるのだけど、本当に分刻みで刻々と予定が入っていて、調整するだけでも至難の業なはずなのに、社長はそれを一人で行って着々と消化していく。仕事ができる人だとは聞いていたけど、これほどだとは思わなかった。
埋まっていくスケジュールを眺めることしかできないまま、上司がこんなに働いているのに私は何をしているんだろうと自己嫌悪に陥る毎日。