最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
松原が深々と腰を折った。頭が地面につくんじゃないかと思うくらいの深さだった。
「本当に申し訳ありませんでした。美園さんの最期があんな形になってしまったのは、全て私の責任です」
松原にそんなふうに謝られたって、俺はなんて答えればいいかわからなかった。無性に脱力感に襲われて、頭を下げ続ける松原をただ見下ろす。
「頭あげろよ」
それだけ辛うじて言うと、松原はようやく体を起こした。険しい表情の中に、どこか少しだけ安堵したような色が浮かんでいた。こいつも、今の今まで謝ることもできずに、後悔を抱え続けていたのかと思うと、ただ虚しかった。
許すよ、と俺が言うのはおかしな気がして、きっとその言葉を待っていたんだろうけど、結局言えずに違うことを聞いた。
「あの人は母さんのこと、好きだったのかな」
松原は、はっきりと頷いた。
「お二人は、愛し合っておられたと思います。……おそらく、今も」