最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~

 茉奈ちゃん。すぐに東京に舞い戻ってきた私にいち早く会いに来てくれて、『シンデレラドリーム万歳!』とまた大号泣してくれた。前田新社長の秘書として、立派に活躍している。

 雅さん。お父様を手伝う傍ら、女性起業家を支援するプロジェクトを立ち上げて、毎日が忙しそうだ。一緒にお茶した私チョイスの古民家カフェは案外気に入ってくれたらしく、たまに一人でも訪れてのんびりしているよう。

 真木。東吾と結婚すると伝えた時、真顔でじっと私の顔を見据えたあと、『なんだかこうなるような気がしてた』と妙に清々しい顔で笑っていた。その後も友人関係は続いていて、東吾も交えて三人で飲みに行ったりもした。そうこうしているうちにむしろ、東吾との友情のほうが深まってしまって、今ではしょっちゅう二人で飲んで、酔っぱらって家に転がり込んでくる始末。

 親族席に並ぶ、神崎室長、松原さん。二人とも感慨深げで、滅多に表情を崩さない松原さんの、目元が少し潤んでいる。

 お母さん、弟、親戚たち。小さな頃から私を見守ってきてくれた大事な人たち。
 みんなの暖かな眼差しに包まれながら、バージンロードの先に立って私を見つめる、愛しい人の前に進み出る。

 白のフロックコートに身を包み、髪を上げた東吾は、どこかの俳優がスクリーンから抜け出してきたのかと思うくらいかっこよかった。切れ長の目に柔らかな笑みを浮かべ、ゆっくりと手を差し出してくる。父がそっと私の手を離し、東吾の手に委ねると、二人は目を見交わして、東吾が微かに目礼した。

 続いて私と目を合わせると、慈しむように少し目を細めた。滲み出る甘さになんだか照れて、目を伏せる。彼は包み込むように一度私の手を握ってから、自分の腕に絡ませた。
< 174 / 175 >

この作品をシェア

pagetop