最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
それでもすぐに気を取り直して、パソコンに向かう。
怒っている場合じゃないのだ、会議には行ってしまったけど、社長の体調によってはこの後の予定はキャンセルしないといけなくなる。
スケジュールを確認しながら、調整できるかどうか頭の中でシミュレーションする。幸い今日、明日は社内の予定が多い、これはどうにでもできる。問題は夜のNT化学社長との会食、あとは明日の午前にも社外で会合があるし……。
キャンセルの連絡は早ければ早い方がいい、でも社長は休む気などさらさらなさそうで、自分一人の判断で動くのを躊躇した私は神崎室長に助けを求めた。幸い室長はすぐに捕まって、明日までの予定はキャンセルしろとの指示が出る。
「ちょうどいい、あの人は働き過ぎなんです。体調がどうであれ、今日、明日は休んでいただきなさい」
その意見は私も全く同感だ。三か月ほぼ休みなしで働いているし、いかに有能とは言えあの仕事量はどう考えてもキャパオーバーだ。そろそろきちんと休んでいただいた方がいい。
それから私は方々に電話をかけまくって、社長のスケジュールを調整した。すでに入っている予定にできるだけ影響が出ないように、時間をずらしたり入れ替えたり。
パズルのようなその作業はとても頭を使うけど、久しぶりに秘書としての手腕を試されているようで、こんな時に不謹慎かもしれないけど、心が躍った。
なんとか調整の目途が立ったところで社長が会議から帰ってきた。顔色は変わらないけれど、足元が少しふらついていて、社長室に入るなりどさりと椅子に座り込んだ。