最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
長いことぼんやりしてから中に戻って、念のためもう一度寝室を覗くと社長はピクリともせず眠り込んでいた。
適当に時間を潰し、頃合いを見計らって夕食を作る。これを食べさせて薬を飲ませれば、とりあえずお役御免だろう。
煮込みうどんの器と、身体を拭く用に濡れたタオルを持っていくと、まだ社長は眠っていて、起こすべきか眠らせておくべきか迷う。うどんじゃなくてお粥にすればよかったかな。
お盆を置いて枕もとにしゃがみ込み、眠る横顔を観察する。
見れば見るほど美しい顔だ。
不機嫌な表情を取っ払ってしまえば、そこにあるのは完成された男性的な美で、思わず引き込まれてしまう。なにこの睫毛、長いしフサフサだし、私が毎朝必死でマスカラ塗ってんのアホくさ……と思ったところで、目を覚ました社長と目が合った。
束の間沈黙が降りる。社長が寝ぼけてまだ頭が回ってなさそうなうちに立ち上がった。やばいやばい、本気で見惚れてしまった。
「眠れましたか? お夕飯、おうどんなんですけど食べれます?」
「あー……」
社長がぼんやりとした様子で体を起こす。汗でしっとりと髪が濡れていて、それが妙に色っぽくて目に毒だった。あほか私、相手は病人だぞ。
タオルを渡すと素直に顔を拭いて、それからお盆に視線を移したので差し出すと、黙々と食べ始めた。食欲もありそうだし、心なしか顔色もすっきりした気がする。これなら明日しっかり休めば明後日からは無事復帰できるだろう。
薬を飲むまで見届けて、声をかける。