最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~

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 お言葉に甘えて、ちょっと遠出してお気に入りのカフェで昼食を摂り、デザートまで満喫して社に戻る。その途中、路面に面した花屋に無造作に置かれたリンドウのきれいな色に目が留まり、小さくアレンジして束ねてもらった。

 社に戻り、小型の花器に生けて社長室に飾ると、なんだか空気が明るくなったような気がした。美術品もいいけれど、生きているものがあると自然と活気を与えてくれる。

 新しく完成したデスクで早速仕事に取り掛かっていると、帰社した社長がすぐにその花を発見し、足を止めた。

「……花か」

「はい。以前から少し殺風景だなと思っていましたので」

 社長はなぜか、長いことその花に見入っていた。
 すっと目を細め、物思いに耽るような表情で。

「お嫌でしたら、片付けますが」

 このくらいの小ささなら気にならないかな、と思ったけど、やはり目障りだっただろうか。

「いや。構わない」

 社長は小さく首を振ると、ふっと私の顔を見た。
 そのまま束の間見つめられる。それがなんだかやけに優しい表情で、どくんと胸が高鳴る。

「あの。なにか?」
「今日のグループ会議、同行できるか? 夕方には終わる」

 ほぼ形式的なものなので、いつも社長おひとりで出席されている。お声がかかるとは珍しい。

「もちろん、お供いたします」
「ありがとう」

 そのまま仕事に戻ってしまった。今のあの、優しい表情はなんだったのか。
 まあ、特に意味はないんだろうけど、いい男は無駄に女子をときめかせるんだから、ちょっとした態度でも気を付けてほしい。
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