最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
「俺」
真木が真剣な面持ちで言葉を繋ぐ。
「あいつを迎えに行ってもいいですか?」
その真摯な声に、胸を突かれた。
もう今更、俺が彼女の心配をする必要なんてない。
その権利を、俺はもう、自ら放棄した。
「いいんじゃないか?」
真木は俺の表情を一つも見逃すまいと、半分睨みつけるような勢いでこちらを凝視していた。
「もう、俺と彼女とは、なんの関係もない」
ただ自嘲の笑みを漏らすしかない俺のことを、真木は何を考えながら見つめていたのだろう。
じゃあ、と足早にその場を去った。追いかけてくる視線を振り切るようにエレベーターに急ぎ、社長室に逃げ込む。
暗い室内は、空調が効いているはずなのになんだか薄ら寒かった。彼女がいなくなって、花が消えた部屋は、どこかよそよそしさを感じる。
突然叫びだしたい衝動に駆られて、代わりに壁を殴った。重厚な造りの壁に跳ね返されて、手に衝撃が響く。
そのままずるずる座り込んで、空を見上げた。
冴え冴えとした月がこちらを見下ろしていた。
無性に、里香に会いたかった。