最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
「なんか久しぶりよね、二人で飲むの」
「当たり前だろ。社長の彼女をおいそれと誘えるか。今だってひやひやしてんだ。社長に睨まれて左遷とか、本気で嫌」
「安心して。東吾はあんたのこと愛してるから」
「なにそれ、何の冗談?」
いい色に味の染み込んでそうな卵を頬張って、うめー、と一個百円の味に浸っている。こいつと一緒にご飯を食べると、なんでも二割増しに美味しく思える。
しばらく黙々と、買い込んだ食べ物たちを消費していった。チューハイとビールの缶が次々と空き、コンビニの袋に溜まっていく。さすがにあらかた食べ切ったころには、揚げ物の油で胃もたれがした。
新しくビールの缶を開けた真木が、静かに口を開く。
「で? 何があった?」
遠くから聞こえていた子供たちの声が、いつの間にか聞こえなくなっていた。陽が沈んで、辺りはもううっすら暗くなっている。
「宣戦布告された」
「お嬢様に?」
「そ」
私も残っていたチューハイにとどめをさして、ビールの缶に手を伸ばす。
「お礼を言われたわ。東吾を素敵な男性に育ててくれてありがとうって」
「なかなか強烈な人だな。ちょっと惚れそう」
驚きながらもおかしそうに笑っている。私も他人から聞いた話だったら楽しんでいたかもしれない。やるなあお嬢様、と感心してしまうかも。