"あやまち"からはじめませんか?





「みんなに負担がいかないようにってことは誰かが無理をするってことですよ」


「うん、だから……私が頑張るから平気、

別に宇佐美くんに手伝ってなんて言わないし」


すると彼はため息をついて言った。


「そうじゃなくて、」


宇佐美くんはあきれ顔をする。


「約束、覚えてますよね?」

「約束?」


「無理をしないこと。

俺が命令したじゃないですか」


「そうだけど……っ、みんなに押しつけるなんて出来ないし」


それに、未だにどうして宇佐美くんがそんな命令をするのかよく分かってない。

身体は強い方だ。


少し私が無理をして、周りが助かるなら絶対そっちの方がいいに決まってる。


すると宇佐美くんはぽつりとつぶやいた。


「結衣さんって……本当、人に頼るのが下手くそですよね」


「……何よ、それ」


カチンと来て宇佐美くんをにらむ。



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