"あやまち"からはじめませんか?
「そうですね、あなたなら同じことはしないかも。
でもじゃあどうする?
今度は自分がボロボロになって立ちあがれないくらいまで落ちますか?」
なんで。
「なんで、そんなこと言うの……っ」
じわり、と視界がにじんでいく。
「嫌だからですよ。結衣さんがボロボロになっていくのは」
ひどく傷つけるようなことを言ってから、いつも優しく包みこむ宇佐美くん。
分からない。
彼のそういうところ。
私をどうしたいのかも。
「こっち、来て……」
すると宇佐美くんは私を手のぐいっと引っ張った。
「な、に」
宇佐美くんは私の目じりにたまった涙を指で拭うと静かに言った。
「今から俺はあなたにキスをします」
「な……っ!」
ポンと肩を押され、身体が後ろに倒れていく。