"あやまち"からはじめませんか?



なんで。

どうして、いつも意地悪するの……。


どんどん近くなっていく足音に心臓はバクバクだった。

どうにかして、宇佐美くんから逃げなくちゃ。


身をよじり、抜け出そうとすると

宇佐美くんはぐいっと私のあごを持ち上げて、また私の口にキスをした。


「んん……っ!」


力が抜ける。


抵抗しても宇佐美くんはびくともしない。



「……やぁ、」



するとコツ、コツと響いてた足音が、生徒会の前で止まった。


息をのむ。


いやだ。


誰かに見られたら、それこそ私はここにいられない。


「はなし……っん、」


宇佐美くんが私の口を塞ぐ。


せっかく生徒会長になったのに、みんなの信用を一気に失ってしまう。


緊張感は高まりすぎて、酸素が追いつかない。


「……っ、」


苦しい。


この先のことを想像して怖くなる。


その時。







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