"あやまち"からはじめませんか?




ーーガチャ。



扉を開く音。


ああ、もうダメだ。

ぎゅっと目をつぶった瞬間、宇佐美くんから拘束は解かれた。


……え?


ドアは開いていなかった。



「あれ、しまってる……」


そうつぶやく女の子の声が外から聞こえる。

カギはかかっていた。


パタパタと足音が去っていき、宇佐美くんもそっと私から離れていく。


「カギ、閉めたの気づきませんでした?」


ふっ、と笑う宇佐美くん。



「結衣さんの焦った顔、可愛かったです」



最低だ。

宇佐美くんは私の反応を見て楽しんでいた。


そうやっていつも、私をオモチャにして楽しんで。



「……さわら、ないで!」


私は宇佐美くんの手をパシンと振り払った。


「宇佐美くんにとって生徒会なんて、ただの役割の一部かもしれない。

でも私は……本気でやってるの!」




< 109 / 276 >

この作品をシェア

pagetop