"あやまち"からはじめませんか?
「授業が始まるので呼びかけは終わりにしてください」
授業開始時刻15分前。
撤収して生徒会室に戻り、片づけをしていると……。
そこには宇佐美くんしかいなかった。
「あれ、他のメンバーは?」
「ああ、荷物持ってくからいいよって先に行かせました」
「……そう、ありがとう」
ここのところ自分への投票の呼びかけと、生徒会の活動がありとても忙しい。
それでもみんな協力してくれているから、早く帰してあげたいとは思っていたんだけど……。
気がきくんだ。この彼は。
そういうところも、私より1歩早く気づいて行動が出来る。
『絶対に宇佐美くんに票入れるから』
彼が生徒会長になったら、私の場所は簡単に無くなってしまうのかもしれない。
そんなの、嫌だ。
私にはここにしか居場所がないのだから。
「はあ……」
ここのところ、気持ちがあせってばかりだ。
「どうしたんですか結衣さん。
やっぱり生徒会選挙が近いから緊張してます?」
ばっ、と私の顔をのぞきこんてくる宇佐美くん。