"あやまち"からはじめませんか?



薄暗い中、ひとりとぼとぼ帰っているとめずらしく家の電気がついていた。


うそ……お母さんとお父さん、どっちか帰ってる!?


「ただいま」


ドアを開けるとそこにいたのは忙しそうなお母さんの姿だった。


久しぶりだ、こんな時間に帰ってくるのは。


「今日帰ってたんだ!夕飯まだだから一緒に……」


「荷物を取りに来ただけよ、これからお母さん、また仕事に向かうから。

夕飯レンジでチンして食べて」


じゃあね、と言うとそそくさと出て行ってしまうお母さん。


ガチャンっとドアが閉まり、部屋には私だけが残された。


「さみしい……」


また一人。
静まり帰った部屋は苦手だ。


お母さんもお父さんも、私に興味ないのかな。

私はご飯を自分の部屋にもっていくとひとり食事をしてから、生徒会の仕事に取りかかった。


ご飯の味はよく覚えていない。



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