"あやまち"からはじめませんか?



「吉永、今来たのか?」


すると、岩田くんが私の元にやってくる。


「うん、ごめん遅くなっちゃって……」

「いや、俺も明日はクラスの方で生徒会出られない全然いいよ。

それよりなんか疲れてない?」

「えっ!全然そんなことないけど……」


そう見えるかな?


「ならいいけど、無理しすぎるなよ」

「うん」


全然、まだまだいける。

少し疲れはあるけれど、これくらい寝てしまえば大丈夫だ。


岩田くんが帰宅し、他の生徒会の子もみんな出て行く。

残ったのは宇佐美くんだけ。


そんな彼もカバンを持って立ち上がるところだった。


今日もまた……帰るんだ。

やっぱりまだあの時のこと、怒っているのかな……。


「帰るの?」

「えっ」


私のポツリとつぶやいた言葉に、宇佐美くんは驚いたように顔を上げる。


「あっ、違うの」


やだ、私何言ってるの。






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