"あやまち"からはじめませんか?




「ヒドイな……」

岩田くんがつぶやく。


「他のものも、一部破損してます」


見回りをしていた宇佐美くんも言った。


考えていても仕方がない。

今は新しく作るのが先だ。


「とにかくもう一度、作り直しましょう

仕事がある人はそっちを先に回して……ここは私がやるから」


そう、指示を出した時。


「……っ」



ぐらりと視界が揺れたような気がした。


あれ、おかしいな。

足が動かない。


目の前にいる宇佐美くんがぐにゃぐにゃにゆがんで見える。


なんでだろう。

なんで……。



「結衣さん、結衣さん……!」



宇佐美くんの必死な声がだんだんと遠のいていく。


その瞬間、目の前が真っ暗になった。



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