"あやまち"からはじめませんか?





「運んだのは私じゃなくて宇佐美くんよ?」

「えっ」

「彼、血相変えてあなたを連れて来たからビックリしたわ」

「宇佐美くんが……」


「宇佐美くん、いつも余裕のある表情してるのに、あんなに余裕のない顔もするのね。

初めて見たわよ」


知らなかった。


ーードキン、ドキン。


その瞬間、心臓がリズムを刻む。

また助けられちゃった……。


「まだ具合が悪かったらもう少し休んでからでもいいわよ

まだ先生、職員室に行かなきゃいけないから少しこの部屋あけるけど……」

「大丈夫です。じゃあお言葉に甘えて少しだけ休みます」


休んで楽になれば、少し手伝えるかも。

そう思ってベッドに横になると、先生の出て行く音がした。

それから横になって少し経つと、保健室のドアが開く。

誰か来た?








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