"あやまち"からはじめませんか?
足音はどんどん近づく。
そして私のベッドの前で止まると、シャッっとカーテンが開かれた。
「結衣さん……?」
宇佐美くんだった。
カーテンを開けた彼と目が合い、私は起き上がる。
「もう大丈夫ですか?」
「うん、平気。運んでくれてありがとう」
わざわざ様子見に来てくれたの?
「そっちの様子はどうなってる?忙しいタイミングなのに迷惑かけちゃってごめ……」
「そうじゃないだろ!」
いつも出さないような宇佐美くんの大きな声に私はびくりと身体をゆらした。
宇佐美くん、怒ってる?
「たおれたのに、どうしてこっちの心配なんてするんです?」
「だって……進まなかったら」
「お願いだから一人でなんでも抱え込まないでくださいよ」
宇佐美くんは私の手を取りぎゅうっと握る。
その手は震えていた。