"あやまち"からはじめませんか?



そして信じられないとでもいいたげな顔をしていった。


「どうしたんですか、その恰好」

「あの、1年の子がクラスの方に行かなきゃいけないらしくて衣装渡されて……その」

「ダメです」

「えっ」


「それで店に出るなんて絶対にダメです」


なに、それ。

似合ってないって……そう言いたいわけ?


そんなの私が一番わかってるわよ。


こんな格好したこともないし似合うわけない。


でも否定しなくたっていいじゃん。


「宇佐美くんにダメとか言われたくない。どうせ誰も私なんか見ないし別にいいでしょ」


ふいっと顔をそむける。

しかし宇佐美くんはまっすぐに私を見て言った。


「絶対ダメです。ここから先は行かせません」


なによ、それ。


彼は口で自分のつけている白い手袋を乱雑に取ると、じりじりと私の元に近づいて来た。


「ちょっと、宇佐美くん?」






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