"あやまち"からはじめませんか?
ーードキン、ドキン。
心臓の音が早くなる。
「結衣さん、そろそろ気づいて下さい
俺はずっと結衣さんのこと……」
彼がそう言いかけた時。
ーーコンコン。
ノックの音が響いた。
「会長、人手が足りてなくて……もう出られますか」
っは、と我に返る。
そうだ行かなくちゃ。
「うん。今行くから……」
そう言って宇佐美くんの横を通り過ぎようとした時、彼が私の肩になにかをかける。
「えっ?」
「これで妥協しますから、着ていて下さい」
「わ、分かった」
それは宇佐美くんの着ていた上着だった。
私には大きくて、スカートから見える足までおおうほどの上着だ。
「じゃあ先行くね」
私は宇佐美くんにそう伝えると、生徒会室出た。
『俺はずっと結衣さんのこと……』
あの時、宇佐美くんは何て言おうとしたんだろう。