"あやまち"からはじめませんか?




「考える、から」


もう、ダメ。
だって恥ずかしい。


ぶわっと体温が上がる。

まるで体がふっとうしてしまいそうになる。


いつも私への復讐でしていると思っていた事が全部、そうじゃなかったなんて。


向けられた感情をどう逃したらいいか、分からないじゃない……っ。


「こんなに口にしてたのに、気づかないんだもんな」

「気づくわけ、ないよ」


「じゃあもう一度言いましょうか?俺は結衣さんのことが」

「いい……!もう大丈夫だから」


心臓がドキドキ鳴って落ちつかない。



いつからだろう。

こんな風になってしまったのは。


すると宇佐美くんは私を抱きしめていた手をゆっくりと放した。


「命令、って言えたらいいんですけどね……」


その顔は切なそうな顔をしている。

宇佐美くん……?


「命令って言って、強引に俺のものにしてしまいたい」


小さく握りしめた手はわずかに震えていた。



「でも……それじゃあ意味がないんです」



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