"あやまち"からはじめませんか?



でもそうじゃなかった。

彼だけがいつも、私のことを……見てくれていたんだ。


聞かなきゃ良かったよ。



じわじわと侵食してくる気持ちが私の心臓を激しく動かす。



こんなまっすぐな気持ちを伝えられたら、目を逸らせない。



「私はずっとね……宇佐美くんに劣等感を持ってたの」


自分より年下の宇佐美くんを何度も怖いと思った。


あの頃の自分は、なんとか宇佐美くんよりも評価してもらおうと必死だったと思う。



「そして、絶対にしてはいけないことをしてしまった。

それはどんなことをしても許されることじゃないと思ってる」



罪を償うため、そう言って彼の命令を聞く。

私たちはその関係でいるからこそ、この状況が保てている。


対等になんかなることは出来ない。

だから……。



「宇佐美くんと付き合うことは出来ない」



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