"あやまち"からはじめませんか?




『宇佐美くんに学級委員を任せたいと思うの。

宇佐美くんなら人の信用も厚いしきっといいクラスになるわ』


ウソついた。

おおかた誰も立候補する人がいなくて仕事が終わらないのが嫌だから俺に押し付けただけだろう。


『宇佐美のことだけは信用してる。いつも宿題見せてもらって悪いな~』


これもウソ。

本当はいいように俺を使っているんだということは分かっていた。

分かっていて、断るのが面倒なのであえて全てを引き受けてきた。


人が思う通りの人間を俺はこなして来たと思う。


こんなに人のいい笑顔を作っておいて平気でウソをつける。


人間ってこんな人ばっかり。


だから俺も諦めて“どうせ”って思って相手を見ることにした。


それが楽だったから。


でも心ではやっぱりウソをつかれた分傷ついていた。

ニブければ良かったんだけどな。

気づかなければもっと楽に生活を送れただろう。


< 188 / 276 >

この作品をシェア

pagetop