"あやまち"からはじめませんか?



結衣さんに信頼して体を預けてもらえるような人になれたら。

そう思って今まで頑張ってきたのに。


まさか自分が生徒会長の立場を狙っているだなんて思われるとは思いもしなかった。


こんなに彼女につくしてきたのに、俺のことは立場を奪う敵としてしか視野に入っていなかったということか。


そう思ったら力が抜けた。


『生徒会長ともあろう人が、デマ流して人をおとしいれようとしてるって知ったらみんなどう思いますかね?』

『……っ』


先輩をじりじり追い詰める。


もっと俺のこと、見ろよ。

俺がどういう気持ちであなたの側にいたか、もっと感じろよ。


足りない。


全然俺は結衣さんの視野に入っていなかった。


『怖いですか?先輩』

『……っ、ぁ』



バカだなあ、先輩。

こんなことしなくても、いくらだって生徒会長は譲ってあげたのに。



< 193 / 276 >

この作品をシェア

pagetop