"あやまち"からはじめませんか?



『逃げないで答えてくださいよ。もし俺がそれで不登校になったらどうしてたんですか?』

『……っ!』


『そこまで考えてなかった?それとも俺ならいいだろうって思った?』


俺の言葉に傷ついた顔をする先輩。

そんな顔するくらいならやらなきゃ良かったのに。

ぎゅっと胸が苦しくなる。


相当切羽詰まってたんだろうな。

相当苦しかったんだろうな。


先輩はいい意味でも悪い意味でも自分を犠牲にしすぎる。

彼女はいっぱいいっぱいになっていても目の前に困っている人がいる限り休んだりしないから。


気づいてあげられなかった。


悔しい……。


ここまで来ていたらもう遅い。

まっすぐな性格の彼女だからこそ、先輩は俺を陥れることに成功したところで自分を責めてたに違いない。





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