"あやまち"からはじめませんか?
ぼーっとそんなことを考えながら、彼のジャケットをぎゅっと握りしめて顔をうずめる。
宇佐美くんの匂い。
なんでだろう。
いつも守ってもらっていたからかな。
懐かしいって思ってしまった。
ここ最近、宇佐美くんが私の側にいることが少ないのかもしれない。
いや、だなあ。
さらにぎゅっと抱きしめた時。
ーーガチャ。
ドアが開いた。
「……っ!」
ばっと生徒会室のドアに視線をやると、そこには宇佐美くんがいる。
私を見て、彼はピタリと固まった。
み、見られ……った?
絶対に、何してるんだって言われる。
ど、どうしよう。
「あ、あのね……忘れてたみたいだから」
動揺して出てきた言葉は答えになっていない。
私はパニックになっていると、彼が言った。
「……そうですか。ありがとうございます」