"あやまち"からはじめませんか?





「ない?」


「ああ。その人と一緒にいたいとか、目で追ってしまうとかそういう感覚的なもんなんじゃね?」



一緒にいたい、目で追ってしまう。


『結衣さん』

『俺は誰よりも結衣さんが頑張ってるところを側で見てきたんです』


思い当たるのは宇佐美くんとのことばかり。



ウソウソ。

そんなハズない。


自分の行動を思い出してかあっと顔が赤くなる。


すると、クツを履き終えた岩田くんは、真面目な顔をしてこっちにやってくる。



「宇佐美?」

「えっ!」


「俺が生徒会室入った時、ガッカリした顔したろ?

誰のこと待ってた?」


「が、ガッカリなんて……!」



私は慌てて否定するけれど、岩田くんは足を止めない。



「い、岩田くん?」


ジリジリと近づいてくる岩田くん。
いつもと様子が違くて、私は戸惑った。


「誰かを待ってたわけじゃないなら

俺が奪ってもいいわけだ?」


「な、に?」




< 205 / 276 >

この作品をシェア

pagetop