"あやまち"からはじめませんか?




「俺、吉永のこと好きなんだよ」


その瞬間、強く風が吹き込んだ。

そっと岩田くんの手が伸びてくる。

その手が私の髪に触れそうになった時、びくっと反応してしまった。


すると。


ーーばちん。


「痛……っ」


彼は私にデコピンをした。


「な、何すんの」

「っはは、冗談だって!俺が吉永のこと好きなわけないだろ?」


「もう!岩田くん、嫌い」


変な冗談なんか言って……。

ちょっとビックリしちゃったじゃん。


「本気にしたろ?仕返しな」

「何の?私何にもしてないのに」

「そんな顔した仕返し」


そんな顔って、意味分からないよ。


こうして岩田くんと駅まで一緒に帰ると、それぞれの最寄り駅で降りて分かれた。



『俺が生徒会室入った時、ガッカリした顔したろ?

誰のこと待ってた?』



岩田くんに言われた言葉が心に残る。




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