"あやまち"からはじめませんか?



「吉永は会長なんだから他にもやることあるだろう?

休める時は休まなくちゃ」


「赤沢くん……」


彼は私を見かけると、時々そうやって仕事を変わってくれる。

学校をよりよくしようって考えてくれるとても頼れる人だ。


「じゃあ……お言葉に甘えてもいいかな?」

「もちろん」


赤沢くんは笑顔で頷いた。


「ああ、そうだ。今日の放課後少し話せないかな?

吉永に伝えておきたいことがあるんだ」


「今日?うん、分かった。じゃあまた後で」


私が彼にお礼を伝え、生徒会室に戻ろうとした時。


「きゃっ」


誰かに手を取られた。

誰……?

そう思って振り返ると、そこにいたのは宇佐美くんであった。


「あ、あの……」


宇佐美くんだ。

久しぶりじゃないのに、なんだか久しぶりに見たような気がする。


彼の顔を見るだけで心臓がドキンドキンとうるさかった。


すると、宇佐美くんは真剣な眼差しで言った。


「アイツには近づかないでください」

「えっ、アイツって……赤沢くん?」


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