"あやまち"からはじめませんか?



放課後。

私は赤沢くんに呼び出され空き教室に来ていた。


なんでこんなところなんだろう?

ガラガラとドアを開けると、薄暗い部屋の真ん中に赤沢くんは立っていた。


「待ってたよ」


そう言ってにこっと笑顔を作る彼。


「どうかしたの?」

「今日はキミに言いたいことがあってね……」


私がたずねると、彼はわざとらしく落ち込んだ表情を見せた。


「残念だよ、キミがまさか生徒会選挙でズルをしていたなんて……」

「えっ」


「偶然ね、聞いてしまったんだよ。

キミと宇佐美くんが話しているところを」


赤沢くんスマホのレコーダのスイッチを入れる。

すると私と宇佐美くんの会話が流れ始めた。


『私は……生徒会長になるはずだった宇佐美くんのポジションを奪ったのよ』


「……っ!?」


私はその瞬間、頭が真っ白になった。

聞かれていた……あの時のことを。



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