"あやまち"からはじめませんか?


声が出ない。
どうしよう。


「まさか宇佐美くんの地位を堕とすために写真をバラまこうとしていたなんてね。

信用していた俺がバカだったみたいだ」

「……っ、あれは」


「何か言いわけがあるのかい?」


なにもない。
私がしたこと。

それは事実だ。


「もしこれを俺がみんなにバラしたら、どうなるだろう……」


――ドクン。


「キミを信用して票を入れてくれたのに、さぞガッカリするだろうなあ」


手が震える。
ドク、ドクと嫌な音が心臓を鳴らす。


「それだけじゃない。

今のこのタイミングで明らかになると自分だけのことだけじゃなくなる。

今年の生徒会は……そういう言い方をされるんだ。頭のいいキミなら分かるだろう?」


じりじりと迫りよってきた赤沢くんはにやりと笑いながらそんなことを言う。


< 212 / 276 >

この作品をシェア

pagetop