"あやまち"からはじめませんか?


「今回の議題は、

来年度の予算を仮で組んだデータを見ながら討論をしていけたらと思っています」


宇佐美くんがみんなにそう伝えて、スライドの準備をする。


「結衣さん、お願いします」


みんなが私の方を見る中、私は言った。


「本当にごめん、資料を作るの忘れてて……」

「忘れた?」


静まり返りみんなが私を見る。


「忙しくて、頭から消えてしまって……ごめんなさい」


みんなの前で頭を下げる。

生徒会のメンバーはみんな私をフォローしてくれた。


「会長も忙しかったと思うし」

「忘れちゃったなら仕方ないよ、でもどうする?今日の議題無いよね?」

「えっとそれが……赤沢くんが用意してくれてるって」


私はちらりとドアを見つめると、赤沢くんが生徒会室に入ってきた。


「失礼します」


驚いた顔をする周り。

これも全部、彼の計画通り。


< 217 / 276 >

この作品をシェア

pagetop