"あやまち"からはじめませんか?
それは、ここで信用を作っておいて、その後情報漏洩の罪で私を生徒会から引き下ろすこと。
そうすることで自分が立候補をして生徒会長になるつもりだ。
こうしてみな、私に不信感を持ちながらもその日は赤沢くんが持ってきた資料で話を進めることになった。
「よく出来てるよなあこの資料」
「でもどこまで生徒会の情報伝えてるんだ?」
ざわつく声が私の耳にも入ってくる。
ごめん。
ごめんみんな。
どうすることも出来ない。
このまま私が生徒会を降りる方がみんなが悪く言われることはない?
この日は何も頭に入って来なかった。
やがて生徒会が終わり、私もそっと生徒会室を出ようとした時。
「結衣さん」
宇佐美くんが私の手を掴んだ。
「話があります。場所を移しましょう」
「あ、えっ……」
半ば強引に手を引かれ、空き教室に連れて行かれる。
緊張感が走る。
「う、宇佐美くん……」
「資料作るの忘れたって本当ですか?」
まっすぐに私を見る彼。
「本当よ、迷惑かけてごめんなさい」
私は彼の目を見ることなく答えた。