"あやまち"からはじめませんか?


宇佐美くんは何を知ってるの?

彼は赤沢くんを睨みつけながら言う。


「お前は選挙の投票権を金で買収した」

「えっ!」


私は驚いて赤沢くんを見る。

投票権をお金で買収したって……。


「な、なんのことだ……」

「とぼけても無駄ですよ。しっかりとってありますから、俺のスマホにね」

すると、宇佐美くんはスマホを操作し、タップした。

宇佐美くんのスマホから声が聞こえてくる。


【それにしてもさ、赤沢に投票するだけで1000円もらえるって美味しすぎるだろ~ああいうのまたやってくんねぇかな?】

【バカ、口に出すなって念押しされたろ】

【大丈夫だろ、今誰もいねぇし】


「嘘……」


音声を聞いた時、赤沢くんは顔を真っ青にする。

「1000円を払う代わりに自分に投票させた。

でも……足りなかったんだ。

お前の投票数はお金を出してズルしても、結衣さんに及ばなかった」


「……っ、」


するとずっと黙っていた赤沢くんが口を開いた。


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