"あやまち"からはじめませんか?



「……ムカつくんだよ。

コイツは努力もしないクセに俺よりも上に立ちやがって……

俺の方がもっと努力してきたんだ。勉強だって苦手な運動だって全部。

それなのに全部持っていきやがって……」


──ダンッ。

宇佐美くんが苛立ったように壁を右の拳で叩く。


「努力していない、なんて言うからあんたは生徒会はおろか、生徒会メンバーにもなれないんだ

周りを見ている人なら分かるはずだ。

この人がどのくらい努力しているかなんて」


宇佐美くん……。


じわりと涙が滲む。

泣いていいのは自分ではない。


そう言い聞かせても視界はボヤけてよく見えない。


「出来るわけないさ。

あんたは自分のことばかり、もともと生徒会のメンバーになる素質がなかったんだ」


すると赤沢くんは悔しそうに顔を歪ませた。


「クッソ……」


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