"あやまち"からはじめませんか?



自分が赤沢くんの言われるがままだった不甲斐なさと、

宇佐美くんに助けを求めてしまったことが恥ずかしくて、私は彼の顔を見ることが出来なかった。


「結衣さん」


──ビクッ。


感情の読めない声色。

私は何か話さなくてはととっさに言い放った。


「ご、ごめんなさい」


すると宇佐美くんは優しく問いかけた。


「怖くなかったですか?」

「怖くは……ないよ、ありがとう、助かった」


本当は怖かった。

身体が小さく震えている。


それを隠すように私は早口で言った。


「でも良かったの?彼がバラすって言った時、私をかばったりしなければあなたは私に復讐出来たはずでしょ?

宇佐美くんにとっては絶好のチャンスだったじゃ……」


「いくらあなたでも、それ以上言うと怒りますよ」


遮るように言われた声には怒りを含んでいた。


「だ、だって……っ!分からないんだもん」


分からない。

分かるわけない。


「どうして宇佐美くんが私を助けるの?

どうしていつも私を見てくれてるのは……宇佐美くんなの?」


私は彼に一番ひどいことをしたのに。




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