"あやまち"からはじめませんか?
しばらく話しながら歩いて、私はぼーっと宇佐美くんのことを考えていた。
誰かを好きだと思ったことは今まで一度もない。
半ば強引にお試しでって言われたけど、自分の中でしっかり答えが出せるのかな?
だって恋するってどういうことだか分からないから。
「結衣さん」
上の空だった私に宇佐美くんは声をかけた。
「あ、えっとごめん」
「ちょっとあっちの方から帰りませんか?」
「あっち?でも遠回りじゃない」
「少しでも結衣さんの一緒にいたいから、ダメですか?」
眉を下げてそんなことを聞いてくる宇佐美くんに胸がキュンっと音をたてた。
な、なに今の!?
「ダメではないけど……」
「じゃあ行きましょう」
そう言われ、宇佐美くんは私の手をとって握った。
「あ、手……」
「今は恋人だからいいでしょう?」