"あやまち"からはじめませんか?
「そんなわけにいかないわ」
「ふっ、そういうと思った。
じゃあ今日は俺の助手を結衣さんにやってもらおうかな」
自炊が出来ないので、その提案を飲むしかない。
「分かったわ」
宇佐美くんに指示されるのはシャクだけど仕方ない。
宇佐美くんは要領よく料理を始めるとテキパキと野菜を切り始めた。
「結衣さん、人参切れますか?」
「人参くらいならいけるわ」
私は包丁を持つと、見よう見まねで切ろうとするが……。
「あれ?」
「ちょっ、危ないですよ。指ちゃんとしまって」
「ええ?分からないわよ」
「だからこう……」
後ろから宇佐美くんが持ち方を教えてくれる。
「ちょっ……」
「集中して」
私は言われるがままにすることしか出来なかった。
「ふふっ、いつもと立場が逆ですね」