"あやまち"からはじめませんか?


放課後になり、私は校門で宇佐美くんのことを待っていた。

HRが長引いているのかな?


いつもなら待っているはずの宇佐美くんがまだ来ない。

まだかな、早く来て欲しいな。


気づけばそんなことを考えていた時。


「お待たせ」


宇佐美くんは私の肩をポンと叩いた。

やっと来た!


「待ちました?」

「全然、今来たばっかりだし」


私の言葉にくすくす笑う宇佐美くん。


「ソワソワしながら待っているの、見ちゃったんですけど」

「なっ……!そんなわけないでしょ」


今日だって行くのはただの買い物だ。

楽しみにしているわけなんて、ない!


宇佐美くんはいつも学校の通学路では適切な距離を保って歩く。

でも人通りの少ないところまで来ると、私の手を繋ぐ。


「今日、寒いから」


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