"あやまち"からはじめませんか?


「ふふ、そうやって困るくせにどうしてそんなこと聞くんです?」

「だって……」

「まっ、結衣さんらしいですけどね」


宇佐美くんは笑って見せると、ポケットの中から何かを取り出した。


「これ……」

「えっ」

渡されたのはさっき行ったお店の小さな紙袋であった。


「開けてみてください」


宇佐美くんに言われるがまま開けてみると、そこに入っていたのは、私が欲しいと思っていたイヤリングだ。


「どうして……」

「似合いそうだなって思ったから」


すると、宇佐美くんは「貸してください」と言って、私が持っているイヤリングをとると私の耳につけた。


「ちょっ……宇佐美く!」

「動かないでください」

「だって周りの人が見て……」

「出来た」

器用に両耳につけてくれる彼。








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