"あやまち"からはじめませんか?


何期待なんてしてるんだろう……。

すると宇佐美くんが口を開いた。


「あの、こんなガキに言われてもって思うかもしれないですけど……

もっと結衣さんを気にかけてあげてください」


宇佐美くんの言葉に私もお母さんも驚きを隠せない。


「きっと寂しがってると思うから……」


宇佐美くん……。

しかし、お母さんはその言葉が勘に触ったようで強い口調で言った。


「あなたね、何を言ってるの?

この子はね、昔から強い子だからひとりでも大丈夫なの

もう……早く家に帰りなさい」


私の手を掴んで引き寄せるお母さん。

すると宇佐美くんはそれを止めるように言った。


「強くない。

結衣さんはいっつもみんなの前では強がってるだけです。

本当は傷ついたり、悲しんだり、寂しく思ったり、人一倍そういう感情を持ってる人です」

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