"あやまち"からはじめませんか?
強くない。
初めて言われた。
みんな私のこと強い子だねと言った。
ひとりでお留守番をする私を、みんなの前に立つ私を……。
すべて勉強もスポーツもすべて人の見本になれるように完璧にしてくる私をみんなは強いと言った。
だけど……本当はそうじゃない。
必死に強がって、胸張って泣きだしそうな自分にムチを打っていただけだ。
「失礼します」
そう言葉を残すと、宇佐美くんは私に背中を向けて歩き出した。
行ってしまう、追いかけなくちゃ。
「何よ、あの子。早く家に戻りな……」
このままじゃダメだ。
私は慌てて、彼の後を追った。
『結衣さんは強くない』
彼だけが……本当の私を見てくれた。
そしてそれを言葉にしてくれた。