"あやまち"からはじめませんか?
「選択肢なんてないんです」
笑顔を向ける宇佐美くん。
逃げられるわけなんて、ない。
私は覚悟を決めて、宇佐美くんの膝にちょこんと座った。
「こ、これでいいでしょ!」
この体勢、恥ずかしい……っ。
膝の先、
出来るだけ彼に触れないように、体重を置かないように腰かけると、
宇佐美くんは言った。
「もっとこっち」
ぐいっと引き寄せられて、後ろから包みこまれる。
すると、ふわりと宇佐美くんの匂いがした。
「や……っ」
ーードキン、ドキン、ドキン。
彼の温もりを背中全身に感じてかあっと顔が熱くなる。
だめ、たえられない。
こんなに男の人と近づいたこと、今まで1度だって無かったのに……。
「耳真っ赤」
「そ、んなところで、しゃべらないで……」
「なんで?」
宇佐美くんの吐息が耳にかかる。
くすぐったくて身を寄せると、彼は言った。
「もしかして感じてる?」
「……っ、ちが、ぁ」
なに、これ。
頭がぼーっとして何も考えられなくなる。