"あやまち"からはじめませんか?



そう、だ。

最初に彼を裏切ったのは私の方。


私がしたことに比べたら、彼のしていることはただの仕返し。


どっちが悪いか、なんて決まってる。


「ご、ごめ……」

「いいです。

別に謝ってほしいわけじゃありません」



私は今、彼からバツを受けている。


何をされても、どんなことを言われても


嫌だなんて言える立場ではないんだ……。



冷え切った空気の中。

切り出したのは彼の方だった。



「帰りましょうか、日が暮れます」


これからも

私は彼に仕返しをされることを受け入れなくちゃいけない。


宇佐美くんが気のすむまで。


許してもらえるまで、彼の言うとおりにしなくてはいけない。






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