"あやまち"からはじめませんか?
「結衣先輩。
先生のとこ行くんですよね?俺も同行します」
「宇佐美くん」
走って私の元にやってきたのは、ひとつ下の後輩宇佐美くんだった。
「いいって、呼ばれたのは私だけだから」
「2人で聞いておいた方が聞きもれもないでしょ?」
「そうだけど……」
ちらりと彼を見る。
不安はない。
さっきそう言ったけれど本当はウソだ。
「それにこれ、生徒会室に忘れてましたよ。今日使うんじゃないんですか?」
「あっ!ごめん……」
私はこの彼を……
大きな脅威に感じている。
「結衣さんって肝心なとこ抜けてますよね」
「い、今持ってこようと思ってたのよ!」
「……本当に?」
ぎらりと光る目がこっちを見る。
――ゾクッ。
まただ。
この表情。
私は彼のこの目が怖かった。
隙を見せたら食ってかかられそうなこのまなざし。
怖い。
本当に不安はなかったはずなのに、
この彼が生徒会にやって来てから
おびやかされることばかりだ。