"あやまち"からはじめませんか?
「こんな細い腕で?」
宇佐美くんは私の腕に優しく触れる。
そしてあとがついてしまったところを指の平でそっとなぞった。
「……っ」
くすぐったい。
とっさに手をひっこめると宇佐美くんは優しく伝える。
「女の子なんだから、あんまり無茶しないでください」
女の子……?
そんなこと今まで言われたことなんてなくて、かあっと顔に熱が集まっていく。
どうやって反応したらいいか分からず、私は顔を逸らした。
「そ、そういうの……私にはしなくていいから!」
しかし、彼はいつまでも私の手を放してくれない。
「そんなんじゃ、俺の心臓が何個あっても足りません。
なにかあったら必ず俺に言ってください」
ドキン、ドキン、ドキン。
うるさい心臓。
なんでこんなにドキドキするのか分からない。
「あ、あの場は私が一番年上だったし……本当は私が言うべきだった」
「年上とか年下とか関係ないです」
「関係あるよ」
「ガンコだなぁ、本当に」
彼は深くため息をつく。